本の歴史 本のご先祖様(文字篇) 本のご先祖様(記録媒体篇) 本が普及するまで サン・ジョルディの日
本のご先祖様(文字篇) グーテンベルグ
 本とは何でしょう。今日では、情報の記された紙または紙に類する物を重ねて綴じた物を本と言うようですが、ここではもう少し広く捉え、紙でできていない本について探ってみます。
 人類は有史以前より様々な記録を残してまいりました。時の権力者は自分の名と功績を後世に伝えるため、様々な方法を用いてその名を残そうとしました。また、宗教なども、その影響力を広める過程で、必ず聖書や聖典と呼ばれるものが登場します。
 今日、世界中の多くの人々が同じ価値観を共有したり、或いは何世代も前に起きた事件に対する教訓を学ぶ事ができるのは、本によって記録が残されているおかげです。本の発明が無ければ知識の共有は不可能となり、今日の文明は無かったことでしょう。

 実は、製本の起源は非常に曖昧です。そこで、まずは本に記録するために用いた文字に注目してみたいと思います。本が文字や絵などの情報を記録するものである以上、文字との関係は切っても切れないものだからです。

B.C.3000年頃 メソポタミアで楔(くさび)型文字、エジプトで象形文字
B.C.2300年頃 インダス川流域でインダス文字(未解読)
B.C.1700年頃 中国で甲骨文字(殷時代の物が発見されている)
B.C.1200年頃 フェニキアで象形文字から派生したアルファベットが使われるようになる。(19文字)
B.C.3世紀頃 秦の始皇帝が文字を統一
1455年 グーテンベルグが活版印刷を発明(金属製活字)
1714年 ヘンリー・ミルがタイプライターを発明

 文字が発明された事で、落書きのような絵だけでなく、きちんとした記録が残せる事になりました。

 これらは紙に書かれたものではありませんし、文字自体が現在のように書きやすいものではありませんでしたが、固い物に刻んだり、意味を覚えやすいという意味で、当時の需要を満たすものだったと思われます。
 また、エジプトの象形文字は、言語としての利便性より、その形状や色彩などから、装飾としての意図を帯びていたとも言われます。

 紙が登場して大量の文字を記すようになると、それに従って文字もどんどん簡単になっていきました。中国では殷王朝から周王朝を経て秦王朝にいたる約1,000年の間に今では印章ぐらいでしか見る事の無い篆書(てんしょ)と、実用文字として隷書(れいしょ)が生まれますが、六王朝時代から唐代にかけて楷書(かいしょ)や行書(ぎょうしょ)、草書(そうしょ)等の書きやすい書体に改良されました。

 西洋では表音文字であるアルファベットが普及しました。当時、フェニキアは地中海交易を盛んにしており、必要から文字の利用が進み、簡易な文字を生む事となります。その文字が特に密接な関係にあったギリシアに伝わり、後に勃興したローマ帝国でも国字として採用された事から、その発展形であるローマ字(アルファベット)は各地で独自の改良を加えられながらも、広く使われるようになりました。

記録媒体篇へ続く