本の歴史 本のご先祖様(文字篇) 本のご先祖様(記録媒体篇) 本が普及するまで サン・ジョルディの日
本のご先祖様(記録媒体篇)
 先の文字篇では文字の発生について述べました。次に、文字をどのようなものに記したのでしょうか。記録媒体に着目すると以下のようになります。

B.C.4000年頃 バビロニアやアッシリアで粘土を使用
B.C.3000年頃 エジプトでパピルスを使用
一般に紙の前身といえばパピルスが思い浮かびますが、パピルスは紙とは異なり、漉く
という作業が有りません。ただ単に薄く切って重ねただけの物のため、形と材料は似て
いますが、紙には発展しませんでした。
実際、紙の発明はエジプトとは全然関係のない中国で行われました。
B.C.1500年頃 ローマで木の板をくり抜いた中に蝋を流し込み、鉄のペンで削って記入。
金具で板を重ねて固定し、本らしい形にする事もあった。
どうやらこの頃までに板を重ねて綴じ、本のようにする事が行われるようになっていた
ようです。
B.C.500年頃 中国で木簡や竹簡に漆を使って記録
B.C.2世紀頃 中国で毛筆が実用化
ベルガモのユーメネス2世が羊皮紙を発明
A.D.105 中国で蔡倫(さいりん)なる人物が紙の作り方を体系化し、質の高い紙を製造できる
ようにする。
それ以前から紙は存在したが、品質が悪く、製造方法も確立されていなかったとの事。
A.D.610頃 高句麗の僧、曇徴(どんちょう)が日本に紙の製法を伝来。
A.D.758 サマルカンドに製紙工場。紙の製法が西洋に知られるようになる。

 紙以前にも現在の紙のように扱える物を探して、様々な試行錯誤が繰り返されてきた事が分かります。

 しかし、どれも持ち運びに不便だったり、記録が困難だったり、或いは値段が非常に高価であるなどの問題がありました。原始時代に使っていたとされる石の巨大なお金を見て、我々はその不便さに失笑してしまいますが、本もまた大変な代物だったようです。また、本の起源が曖昧なのも、このように様々な材質の本(らしい物)が作られ、現在のような形に集約するまでに相当の時間が掛かったためと思われます。

 紙が登場するまで、書物は大衆のものとなり得ず、権力者か宗教関係者しか扱えない代物でした。本の大衆化には、簡略かつ統一された字と、それを記すための廉価かつ取り扱いの簡単な紙が必要だったのです。