本の豆知識 本の奥付を読む 正しい管理方法 製本用語解説
本の奥付を読む
 本の奥付(おくづけ)と呼ばれる物をご存知でしょうか。
 本の巻末によくある、書名、著者、発行者、印刷者、出版年月日等を書いている部分ですが、奥付という名前をご存知だった方は少ないのではないでしょうか。もちろん、月刊誌や週刊誌にも存在しますので、一度ご覧になられてはいかがでしょう。
 あらかじめ印刷されている物と、別紙を貼り付けたものが有ります。
 奥付は本の身分証明書のような物です。ここでは本をよりよく理解するための一助となる、奥付の各項目を説明いたします。
奥付
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書名
本の正式名称が記載されています。表紙にサブタイトルがゴチャゴチャ書かれていて、どれが本の名称かわからない場合は奥付で確認します。

版・刷
2版11刷といった具合に書いてある物ですが、それぞれ意味が異なります。
まず、「版」ですが、これは後で述べる「刷」と同じ意味で使われる事もありますが「何版何刷」と書かれた場合、印刷の元となる版の変更回数を示します。つまり、本の内容が変わった時に初めて版数が変わります。
次に「刷」ですが、これは印刷回数を示します。通常、出版社は売れると見込んだ数しか本を作りませんが、大人気で追加注文が多い場合、同じ版を使って何度も印刷・製本を行います。
つまり、大人気で同じ本の注文が繰り返し入ってくるような場合は増刷を行い、「刷」部分が増えていき、時代の変化などの理由で改訂を行う場合は「版」部分が増えていきます。「刷」部分が多い本は、それだけ書店から出版元に繰り返し注文が入っているという事であり、ロングセラーだという事が出来るかもしれません。


定期物の場合、版や刷といった表示ではなく、通算何号目かを記載している事があります。一ヶ月、一週間という短いスパンで売り切る形態を取るため、増刷などを行わないのが普通だからです。

定価
言うまでも無く、本の価格です。値段は時代を反映しております。高度成長以前と以後では物価が大きく異なっており、図書館で探し物をしていると、凄い値段の本に遭遇する事もあってなかなか楽しいです。その当時の物価などと比較すれば、相対的な価値が判断できますね。
消費税導入以降は、販売価格と本体価格(税抜価格)を併記するのが普通です。

著者・編集
本を書いた人、若しくは団体です。出版社と同一視される事がありますが、フリーの編集人が本作りをするケースが多分にありますので、文面・図柄を作成した人とお考えください。

発行
本を発行する人になります。著者とは異なります。出来上がった本を量産し、広く販売する行為であり、発行者・発行所と分けて書く場合も多々あります。
大手出版社の名前が入っている事が多いですね。

印刷
印刷を担当した会社の名前が入ります。時々、ここに製本会社の名前が入っている事がありますが、制作に関連したという事で入れて頂ける事があるのですが、我々製本業者としては自分たちの名前が入った本が世に出るというのは大変嬉しい事です。
ところで、多くの本に製本会社の名が入っていないのは何故でしょうか。これは制作の都合で、奥付を書く時点では製本を何処に発注するか確定していなかったり、出版元では印刷と製本を一括して印刷業者に委ねる事が多く、製本業者の名前まで把握していない等の理由によるそうです。
残念ながらこれは制作の都合上仕方の無い事ですが、逆に名前を入れて頂ける事になると身が引き締まる思いがします。制作の初期段階からその仕事に関わらせていただいたという証しであり、こういう仕事が増えると我々の励みにもなります。

検印
著者が本の発行を認可したという意で押印した物です。直接本に押される場合と、検印紙という別の小さな紙に押印して、それを本の奥付に貼ったものの二通りあります。
発行者が著者または著作権者に支払う「印税」とは、この検印制度からきた呼称です。発行部数や定価などを元に、印税額は決定されます。
最近は検印が省略される傾向にあります。

 奥付はあくまで記録として設けられているため、「面白い」とか「味わい深い」といった楽しみがあるわけではないのですが、どんな人が作ったのかとか、いつ頃制作された本なのか、あるいは何度も改訂されているのか、どんどん追加注文の入る人気のある本なのかといった事が分かるようになっています。
 良い本に出会ったら、是非奥付も見てあげて下さい。新しい発見があるかもしれませんよ!